自分がリードする側になると真剣に生活を見直すようになります

くじけそうになっても、やめるわけにはいかない

いままで続けてきた習慣を変えたいのだけれども、どうしても続ける自信がない、という人にとっておきの方法があります。それは、「あなた自身がよい習慣のモデルとして活動する」ということです。まえに、習慣を改めようとするときは、周囲に宣言してしまうといいということをお話ししましたが、モデルになるというのは、そのぷ旦言方式”をさらに強力にしたものです。

私の患者さんの中に、若いころはやせていたのに、戦後の経済成長とともに太りだし、肥満になった人がいました。しかも、この人は相当なヘビースモーカーでした。この患者さんと最初に会ったときには、まだ明らかな病気にはなっていなかったのですが、やはりこのままではまずいと忠告し、まずはタバコをやめてもらうようにしました。私のアドバイスにしたがって二週間の禁煙旅行に出ることで、この人はみごとに禁煙に成功しました。

ところが、その禁煙中に体重がふえてしまいました。タバコをやめると、食事がおいしくなり、ついつい食べすぎてしまったのです。

そこで聖路加国際病院の人間ドックにはいり、食事を減らすための指導を受けて、すこし体重を落とすことに成功しました。ふっうはここでやれやれと安心してしまうのですが、その人はそれ以上太らないために、ライフプランニングセッターの「上手にやせる会」にはいったのです。

この人に、私はやせる会の会長になってもらったのです。

彼は、ちょっと気をゆるすと食べすぎてしまうところがあったのですが、会長になるともう太れません。ほかの会員の手前もあって、くじけそうになっても、食事の量をコントロールして食べるというよい習慣をやめるわけにはいかなくなったのです。

こうした会で自分かリードする側になると、人から減量や禁煙をすすめられて始めるときにくらべると、もっと真剣に自分の生活を見つめなおすようにもなります。「動機」も強化されます。また、人を指導することで、よい習慣のだいじさがさらに深く理解できるようにもなるでしょう。このような治療法は行動科学的アプローチといえましょう。

周囲におおいに自慢する

学生時代、家庭教師や塾のアルバイトを経験したことがある人ならおわかりでしょうが、相手が小学生の子どもであっても、人に何かを教えるというのは、自分自身が教える内容をよく理解していないと、うまくいきません。また、教える立場になると、教わっているだけではわからないことも見えてきます。「人に教えるとは、自分が教わることだ」とよくいわれますが、習慣を変える場合も、同じことがいえるのです。

あなたも同じ悩みを持つ人たちを集めて、そのリーダーや、みんなのモデルになってみませんか。よい習慣を伝染させる会が、日本のあちこちにできることを願っています。

さて話をもどせば、先のやせる会の会長が、まだ会長になるまえ、禁煙に成功したときにテレビに出てもらったことがあります。一日一〇〇本吸っていたタバコをやめた、と聞いてすぐにテレビに誘いました。そして、「100本のタバコをいかにしてやめたか」という話をしてもらったのです。

そのときは、彼もタバコをやめるのに成功した直後でしたから、完全に習慣として定着していませんでした。このままだと、いつまたタバコが吸いたくなって、もとの悪い習慣に逆もどりしてしまうかもしれません。そこで、たまたまテレビから出演依頼があったのをうまく利用して、私といっしょにテレビに出てもらい、禁煙について話してもらったわけです。

案の定、この方法はみごとに功を奏しました。数十万か数百万人の視聴者の前で「私はタバコをやめました」と宣言した手前、彼は二度と吸わないようになったのです。

あなたも悪い習慣をやめるのにすこしでも成功したら、「私はいままでの悪習をこうやってやめたんですよ」と、周囲の人におおいに。自慢”してみてはどうでしょう。ふっう自慢話は聞かされる側には迷惑になるだけですが、こうした自慢話なら、聞く人にとっても利益になりますし、あなた自身がいい習慣を続け、それが定着するための力ともなってくれるのです。 

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