長年続けてきた習慣を変えるのはたいへんです。しかし、本気で変えなきゃと思うなら、意志と努力しだいで長年の生活習慣を変えることは可能です。
ただし、習慣を変えたからといってすぐにその効果が出るというものではありません。効果が実感できるようになるまでには時間がかかります。それが待ち切れずに途中でくじけてしまう人もいます。
しかし、あきらめずに続けていけば、かならず効果が出ます。病気になるまえなら発病をずっと遅らせることが可能ですし、たとえ病気になっていた場合でも悪化を防げます。いずれにしても、悪い習慣を変えるのは間違いなく意味があります。
日本では、65歳からが第二の人生などといわれるようになりました。私はいま七五歳以上を新老人と定義していますが、現状は六〇歳からは”第二の病気人生”といってもいいかもしれません。六五歳を過ぎても元気であればこそ ”第二の人生”が迎えられるのです。
自分の人生がだいじだと思うなら、若いうちからよい習慣を身につけるようにしてほしいのです。
もちろんたとえ病気になっても、しぶとく立ち向かっていくことで、病気をかかえながらも”健康”に生きていくことはできますが、何といっても病気を
つくらないことが第一です。
悪習慣を断ち切るのはいまからでも遅くはありません。「もう自分は年だから、いまから習慣を変えても手遅れだろう」などと、あきらめることはありません。もちろん、一〇代、二〇代の若いうちからいい習慣を身につけるにこしたことはありませんが、何歳になろうと、悪い習慣を改めることで、かならずよい成果が得られます。気がついたときに始めないと、ほんとうに”苦闘の病気人生”を送らなければならなくなります。
私か医師として悪習慣を変えるようにアドバイスをしても、「そうですか、考えておきます」とか「何とかしなきゃいけませんね」とか言うだけで、結局、アドバイスを実行しようとしない人がいます。こういうとき医師は無力で、やはり本人が自分で自分を管理していこうと本気で思わないかぎり、どうにも手の打ちようがないわけです。
こういう人の中には、何か悪い習慣なのかを理解していない人も多いので、ここで思いつくまま列挙してみましょう。塩辛いものを食べる習慣。甘いものをとりすぎる習慣。コレステロールの多い動物性脂肪やバターをとりすぎる習慣。運動をしない習慣。タバコを吸う習慣。お酒を飲みすぎる習慣。
まだまだあります。歯をみがかない習慣。夜食の習慣。よくかまないで食べる習慣。食べすぎる習慣。入浴しない習慣。姿勢を悪くして座る習慣。ストレスをうまく回避できない習慣。睡眠が不規則な習慣。
ざっとあげてもこれくらい、病気をつくりやすい危険因子が、私たちの生活にまとわりついているのです。
定期的に検診を受けている人ならおわかりだと思いよすが、40歳のときより45歳のとき、45歳のときより五〇歳のときと、いろいろな検査値がすこしずつ病気への”危険水域”に近づいていくことがわかるはずです。そして、人によって違いますが、まだまだ平気と夕力をくくっているうちに、いつかは危険水域にはいり、場合によってはそこでおぼれる人も出てきます。
そのもととなる危険因子をつくる悪い習慣を、全部いっせいに変えろとはいいませんが、できるだけよい習慣に変えていくように、努力していくと、健やかな第二の人生が迎えられるのです。
いままで日本人は、ある程度の年になれば、病気になって薬の世話になるのが当たり前と思っていました。そんなのはすこしも当たり前ではありません。病気にならないのが当たり前と、みんなが考えるようになってほしいのです。
中高年の人たちが何人か集まると、かならず病気の話になり、なかには病気や薬の知識を自慢する人もいるようですが、そんな自慢をするくらいなら、その世話にならないようなよい習慣を身につけて、健康自慢をしてほしいものです。