不健康の習慣


生活習慣病の原因のタバコの禁煙法

海外旅行にでかける

生活環境を変えるのに、いちばん手っ取り早いのが旅行です。とくに海外へ行く場合、飛行機をはじめとして公共の場所はノースモーキング。

たとえ2、3日でも、タバコなしで過ごした体験は自信になります。

ドライブを楽しむ

のんびりドライブを楽しんだり、窓の外をながめることにより、ふだんの生活リズムから離れることができます。

吸いたくなったら気をそらすこと。景色のいい所で車を止めて、深呼吸するのもいいでしょう。

水やお茶をたくさん飲む

ニコチンの離脱症状の一つに、やたらとのどか渇くことがあげられます。そんなときは、水やお茶、ジュースなどを飲むようにしましょう。

アルコールやコーヒーなど、刺激の強いものは絶対に避けます。

宴会を避ける

宴会の席にはかならずこってりしたおつまみがでてきます。お酒を飲んだり、脂っこい料理を食べたあとは、つい一服したくなるものです。

代わりを見つける

口が寂しく、どうしても吸いたくなったときは、ガムや飴を□に入れたりしてしのぎましょう。 


目標をもっている人ほど必要に迫られたとき、すぐ実行する

海外旅行はタバコをやめるキッカケになる

習慣を変えようという決意と、その実行には落差があります。たとえばタバコをやめようというときに、いつものオフィスでいつもの仕事をしていれば、いつもと同じストレスを受けますから、ついタバコに手がのびやすくなります。

ですから、私は習慣を変えるキッカケづくりとして、環境を変えることをすすめます。といっても、いまの仕事をやめなさい、いまの生活を変えなさいというわけではありません。ちょっと工夫すれば、ふだんとは違った環境に身をおくことができます。たとえば旅行などは、生活環境を変えるという意味で、有力なキッカケになります。

タバコをやめようというなら、その旅行はできれば海外旅行がよいでしょう。まず飛行機に乗っているあいだは、ノースモーキングで過ごすことになります。さらに欧米では公共の場所はノースモーキングですから、素直にそれにしたがいます。目を血走らせてスモーキングエリアを探さないようにするのです。

旅行中、ボンヤリと窓の外をながめたり、ドライブしたりするというのは、環境が変わるだけでなく、ふだんの生活リズムからも離れることができます。オフィスでストレスを受けながら、どうしてもタバコを吸いたくなるというリズムとはまったく違いますから、タバコを吸いたいという気もあまり起こらなくなるはずです。

この海外旅行がたとえ二、三日のものであっても、タバコなしで数日過ごしたという体験は大きいものです。自分もやめられるという自信がつきますし、いままでと違った自分を発見して、もっと続けようという意欲がわいてくるという人もいます。いずれにしても、立派に動機づけができるのです。

こうしたことは、もう医師が指導できる領域ではありません。診察室でできることなどしょせん限界があり、あくまで本人の意志がベースです。タバコをやめたいから。いっしょに海外旅行にいこうよと、だれかを引っ張りだしてもいいですから、積極的に自らキッカケをつくることも必要でしょう。

また、たとえば什事の帰りに何かスポーツをするというのも、生活のリズムを変えるよいキッカケになり、そのときに禁煙するというような方法もあるでしょう。

どんな方法でもいいのです。一つでも悪い習慣から抜け出ることができれば、どんどんいい方向に自分を変えていけるでしょう。


習慣を変えるには、まわり協力が大事

やる気をそぐ「どうせダメ」

習慣を変えるには、本人の意志がまずなければダメですが、それにもましてだいじになるのがまわりの協力です。体験者に話を聞いてみると、ほんのささいなことでも意志がくじけてしまうものなのです。

せっかくのやる気をそぐ代表的な言葉が、家族の「どうせダメ」というものです。「どうせお父さん、ダメなんだから無理しないほうがいいわよ」とか「これまで何回も失敗してるんだからどうせダメよ」という言葉ほど、やる気をそぐものはありません。子どもが珍しく机に向かって勉強しているときに、「どうせ、すぐ気が変わるんでしょう」と言えば、大半の子どもがやる気をなくすでしょう。それとまったく同じことを言っているのだと思ってください。

こういうときは、周囲が決断した人をもち上げるにかぎります。「今度は本気みたいね。顔つきが違う」とか「本当にやめられたらパパを尊敬する」と励まし、すぐに元通りになるのをカッコ悪いと思わせるトリックも必要です。

といっても、家族から面と向かってこう言われると、かえって「しらじらしいことを言って」と反発する人もいます。そうした人でも、奥さんが子どもに
「今度はお父さん、本気みたい」と言っているのを立ち聞きして、その気になることがよくあるのです。友人に協力を頼んで、「奥さんが、きみが深酒をやめてうれしいと言っていたよ」などと言ってもらうのもいいかもしれません。家族の健康を守るために、周囲もこれくらい協力してもいいでしょう。

私か聞いたなかでいかにも効果がありそうだったのが、可愛い孫の言葉です。「おじいちゃん、私か結婚するまで生きていてね」と言われ、その日からタバコをやめた人がいます。なるほど医者の言葉より効きそうです。

あるいは権威に弱い人なら、たとえば会社の社長に「きみ、そんなこともやめられないのか」とひと言いってもらえば、ものすごく効果があるでしょう。

このように動機づけにも様々な戦力がありますから、まわりの人は本人の生活をよく見抜いて、効果的な方法を編み出してください。


習慣を変えた自分をおおいにほめてあげてください

睡眠時間を削っても、全然疲れを感じない

会社の仕事などでみなさん経験していると思いますが、人から命じてやらされる仕事はただただつらいノルマにすぎませんが、自分かやりたいと思い、計画立案して実行している仕事は、たとえ徹夜してもあまり苦になりません。

私は、仕事が終わり家に帰ると、毎晩かならず一時間半、資料の整理をします。その日何かいい言葉に出会ったら、それをメモしたり、それが載っている本や雑誌を選びだします。そしてそのコピーをとり、それぞれ関連あるファイルに入れていきます。あるいは、その日経験した患者さんのこと、その日もらつた患者さんや友人からの素晴らしい手紙なども、やはりコピーをとって整理しておきます。もっとも、コピーをとったり、ファイル別に整理するのはたいへんなので、人にも手伝ってもらいます。

講演など頼まれると、講演のテーマに関連したファイルを五つか六つ持って出て、新幹線や飛行機の中で講演の中身を組み立てていきます。

ときには、夜整理していてそのまま原稿を書き出して、気がっくと朝になっていることもあります。翌朝、ふっうに仕事に出ますが、睡眠時間を削ていても、こういうときは全然疲れを感じません。

自分の興味で、自分の意志で行なっていることですからストレスなどまったくなく、「いい原稿が書けた」というような満足感のほうがはるかに上回っています。

睡眠が不足していても集中力もあまり落ちませんし、家に帰ってすぐ寝てしまうということもありません。ふだんどおりの時間に寝て平気です。徹夜して書き上げた喜びというのは、私にとっては達成感というたいへんなご褒美になっていて、エネルギー源になっているということです。

自分の習慣を変える場合もまったく同じことです。

医師に言われたからしかたなくとか、女房がうすさいのでしかななく変える、というのでは習慣を変えること自休が、新たなストレス源になってしまいます。あくまで習慣を変えるというのは、その必要性を十分認識したうえでの自発的行為でなければなりません。


悪い習慣を断ち切ろうと思ってもゆるしてくれないのが日本の社会です

周囲と肩をならべていないと安心できない

よい習慣を身につけようとして努力しているにもかかわらず、その努力がうまくいかない場合があります。それは環境の問題です。環境が悪いと、本人の努力だけではうまくいかないことも出てきます。

とくに、本人がいくら健康維持のために悪い習慣を断ち切ろうと思っても、それをなかなかゆるしてくれないのが日本社会です。典型例が酒の場です。一気飲みを強いられて急性アルコール中毒で亡くなった若者が何人もいますが、立派な社会人でも似たようなことを平気でやっています。

見ていると「なに、飲めない、情けないこというな」とか「おれの酒が飲めないとはどういうことだ」と、無理強いするのが酒だと思っているようです。
こういうのははっきりいって暴力行為です。

もし、酒を断りた人が病気を心配していたり、無理をするとちょっと危ないと思っているような状態だったら、その人に無理矢理酒を飲ませるのは殺人行為かもしれません。

日本人はとにかく周囲と肩を並べていないと安心できない傾向があり、一人、その輪の中から抜けると村八分のように扱ったりします。一人だけ酒を断ったりすることは許されないのです。

「まあ、そういわずにつきあえよ」と半ば脅迫のように飲ませます。その意味では、チャイルディッシュ、子どもっぽいのが日本の男性の特徴です。

何らかの生活習慣病をかかえている人が、推定で延べ5000万人近くもいる国なのですから、こうした社会の悪習をなくしていくことも必要でしょう。せっかく家庭でいい習慣を持っても、学校や会社へ行くとその習慣が通用せず、それが病気の原因になってはどうしようもありません。

いい習慣を社会全体が認めるような、そうした国になってほしいのです。


落とし穴にはまりやすいのが自分は健康だと思い込んでいる場合です

悲劇の当事者になるまでわからない

よい生活習慣を身につけることかだいじだとお話しすると、こんなことを言う人がいます。「自分にはたしかに悪い習慣があるが、体のどこも悪くはない。健康なのだから、苦労して習慣を変える必要を感じない」と。

しかし、自分は健康だからと、いまの健康状態を過信するのは禁物です。

人の感覚と病気の関係は、大別すると四つあります。

一つは、自分にはどこも悪いところはない、毎日バリバリと元気にやっているというように、自分は健康だと思っている。”健康感”があって、検査しても悪いところがない場合。2つ目は、健康感はあるけれど、調べてみると悪いところかあったという場合。3つ目は、自分では具合が悪い、疲れやすいなどと不快感を持っているけれど、調べてみるとこれといった病気は発見されない場合。四つ目は、自分は具合が悪いと思っていて、調べるとやはり悪いところがあったという場合です。

三つ目、四つ目は、自分は体が悪いという自覚があるので、健康にけっこう神経質になるのですが、意外に落とし穴にはまりやすいのが、二つ目の、自分は健康だと思い込んでいる場合です。

たとえば、まだ症状が出ていなくても、体の中でガンが育っている場合もあります。いくら自分に健康感があっても大丈夫だとはいえないのですから、注意が必要です。

悪い習慣を続けているというのは、いってみれば赤字を続けている会社のようなものです。いつ倒産するかわかりません。会社のことなら細かく数字を分析したりして、危ないとか大丈夫と判断する冷静な経営者でも、自分の体のこととなると、なぜか根拠なく自信を持つのです。

私たち医師は、そういう人の体を分析し、このままいったらあと数年で危ない、確実に病気になると判断して、アドバイスするのですが、本人は自覚症状がまだないのでピンとこないのでしょう。病院を出るとケロリと忘れてしまうのです。

私たちは飲酒などによる肝硬変を数多く見てきて、その悲劇もたくさん見ています。まだ自覚症状が出ないうちに対策を講じることかだいじだと思い注意するのですが、自分がその悲劇の当事者にならないとわからないのです。


何歳になろうと習慣を変えるとかならずよい成果が得られます

効果がでるまでには時間がかかる

長年続けてきた習慣を変えるのはたいへんです。しかし、本気で変えなきゃと思うなら、意志と努力しだいで長年の生活習慣を変えることは可能です。

ただし、習慣を変えたからといってすぐにその効果が出るというものではありません。効果が実感できるようになるまでには時間がかかります。それが待ち切れずに途中でくじけてしまう人もいます。

しかし、あきらめずに続けていけば、かならず効果が出ます。病気になるまえなら発病をずっと遅らせることが可能ですし、たとえ病気になっていた場合でも悪化を防げます。いずれにしても、悪い習慣を変えるのは間違いなく意味があります。

日本では、65歳からが第二の人生などといわれるようになりました。私はいま七五歳以上を新老人と定義していますが、現状は六〇歳からは”第二の病気人生”といってもいいかもしれません。六五歳を過ぎても元気であればこそ ”第二の人生”が迎えられるのです。

自分の人生がだいじだと思うなら、若いうちからよい習慣を身につけるようにしてほしいのです。

もちろんたとえ病気になっても、しぶとく立ち向かっていくことで、病気をかかえながらも”健康”に生きていくことはできますが、何といっても病気を
つくらないことが第一です。

悪習慣を断ち切るのはいまからでも遅くはありません。「もう自分は年だから、いまから習慣を変えても手遅れだろう」などと、あきらめることはありません。もちろん、一〇代、二〇代の若いうちからいい習慣を身につけるにこしたことはありませんが、何歳になろうと、悪い習慣を改めることで、かならずよい成果が得られます。気がついたときに始めないと、ほんとうに”苦闘の病気人生”を送らなければならなくなります。


AIR FORCE1 LUX